このたび、高知市医師会の過大なご支援をいただき、高知大学寺田典生教授のご指導のもとに、高知CKD病診連携協議会が設立されましたことを、心中より感謝申し上げます。
私事で申し訳ありませんが、高知県に赴任して約30年になります。この間、高知県での腎臓疾患治療の歴史を「腎炎対策から透析医療」まで見てまいりました。その歴史、特に「腎炎対策」においては、決して十分とはいえません。県立中央病院に赴任しました昭和54年、まだ高知県内では腎臓の生検を行う病院すら皆無でした。当時の副院長が、多くの腎炎の患者様を診ておられ、伊野町でご開業の高岡道夫先生たちと毎週3名程度の腎生検を始めました。しかも、当時の病理の先生は、腎臓組織については経験がないとのことで、乏しい知識ながら、蛍光染色標本、HE染色標本を自分たちで診ていました。そのような時代から、時代は変わり、高知腎疾患懇話会の立ち上げを機に、高知医大病理大朏祐治教授に、組織、電顕所見のご指導をいただく機会をえました。
現在では、腎臓組織診断による、治療方法が確立した時代となり、市内総合病院で生検・治療が十分可能となりました。しかし、早期に腎臓疾患を見つけ、治療を行い、病気の進行を防止するにはどうしても、「かかりつけ医」と「専門医」との密接な連携が必要性でした。
ちょうどその折、「腎疾患進行が生命予後を悪化させる」「医療費の膨大な増加原因に透析患者の増加がある」という理由から、腎臓疾患の進行抑制の重要性が叫ばれるようになりました。日本腎臓学会・透析医学会など諸学会が立ち上がり、厚生労働省も含め、ここに、全国的に「CKD対策活動」が始まりました。高知県でも、全国に先駆け、高知CKD病診連携協議会が設立、「かかりつけ医」と「専門医」との連携、運用の運びとなりました。
このCKD病診連携がより効果的に運用され、高知県の腎臓病対策の新しい道を開き、県民医療に貢献できることを祈念いたしまして、ご挨拶といたします。
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